スーパードンキーコング


任天堂 レア

アクション

プレイヤー:1~2人




1994年に任天堂とレア社のチームによって開発されたアクションゲーム。当時、最先端の3DCGをSFCに落とし込むというレア社らしい、技術力の高さが特徴である。内容としてはオーソドックスなアクションゲームだが、マリオシリーズとの差別化はしっかりとされており、ゴリラらしい機動力(?)の高い動きを体験できる。私のお気に入りの一本。

本作は全6ワールド+ラストボスで構成されている。プレイヤーキャラクターであるドンキーコングとディディーコングを使い分けながら進むのが重要。ドンキーはタルを真上に持ち上げたり、体の大きな敵を倒すことができる。水中や飛距離が必要な場面が苦手。ディディーはタルを抱えて体当たりできたり、高くジャンプできる。しかし、一部の敵には弾かれてしまうのでステージによっては苦労する。他にもステージを楽に進めるのに助けになるアニマルフレンズがいる。サイのランビは敵に体当たりすることができ、カジキのエンガードは水中で唯一攻撃ができる。他にも三体のアニマルがいて、どちらもゲームの進行に大きく貢献してくれる。このゲームは慣性がそこまでかからないので、ジャンプして引き返したり、敵を踏みつけやすい。初めてアクションゲームをする人にはオススメかも。

アクションコースはジャングルに始まり、遺跡、ツリーハウス、雪山、工場など美しいグラフィックによって描かれる世界は飽きさせない。SFCで旅行気分を味わうならこれ(?)


・シンプルな操作性と多彩なアクション

・SFCの限界とも言える、3Dモデリングによる美麗なグラフィックおよびアニメーション

・バラエティーなアクションコース

・ドンキーとディディーの使い分け

・高品質なサウンド、音楽

・ステージによってはセーブポイントまでに物凄く苦労する

・やりこみ要素はボーナスステージを探すだけ


画期的な3DCGによる世界

パワーアニメーターというツールでボディパーツを作るらしい
パワーアニメーターというツールでボディパーツを作るらしい

このゲームの最大の特徴といえば、当時最先端の3DCGによる美麗なグラフィックだろう。レア社といえばFC時代にもハードの性能をフルに使った作品はあった。バトルトードでは拡大縮小表現。Snake rattle n roll (日本未発売)では多関節のキャラクターが主役で見下ろし視点による、立体的なマップを実現していた。その時代に積み上げてきた技術力が本作でハッキリとした形になったと言って良いだろう。CGには映画「ジュラシックパーク」「ターミネーター2」などに使われた開発ツールが使われている。少しづつCGを取り込むゲームは増えてはいたものの、ここまで大部分に大掛かりなCGを使うことは珍しかった。

モデリング中のドンキーコング
モデリング中のドンキーコング

前例のない試みにスタッフは相当苦労したそうで、アニメ化には試行錯誤の連続だったとのこと。一つのキャラクターを仕上げるのに約6週間ほどで、背景などの複雑なオブジェクトは形や照明の当たり具合を完成させるだけでも2日はかかるという。

アニメーションは体のパーツや照明を少しづつ調節しながら、何枚もの画像を作る。CGらしい自然な動きには最低でも8コマのアニメーションが必要らしく、ドンキーやディディーのような主要キャラクターにはその倍以上のコマが用意される。アニマルフレンズのカエルのウィンキーには28コマものアニメーションが作られたらしい。

当時のレア社
当時のレア社

残念ながら、ここまで作ったCGをSFCが完全に再現するほどのパワーはない。ではどうやって極力オリジナルに近い形で落とし込めたのか。なんと色を混ぜ合わせることで足りない色を補ったのだ。仕組みとしては、動画で交互に別々の色を発色させることで表示している。例えば、仮に紫色が欲しいとしたら、赤色と青色を高速で交互に表示することで紫色に見せることができる。錯覚を利用しての業だったのだ。

アニメーションの豊富さと、鮮やかな多色表示によってSFCの限界発色数を見事に越えてみせたこの作品は、全世界で大ヒットしシリーズ化した。今日、我々にとって親しみのあるドンキーの姿はレア社の高い技術力と苦労故に生まれたのである。


CGが素晴らしいのはもちろんだが、音楽も同じぐらい画期的だった。デヴィッド・ワイズ、イーブリン・フィッシャー、ロビン・ビーンランド氏はSFCの音が何たるかということがよくわかっていたのだろう。他のSFCのゲーム音楽と特異点は何といっても音源の幅と、そして環境音を交えた音楽である。バナナジャングルの曲が良い例だろう。元々、あの音楽は三つの別の曲だったらしい。作曲者であるデヴィッド氏は任天堂に聴いてもらったところ、全部合わせてくれとの支持があり出来上がったのだ。このゲームの雰囲気をバッチリ感じることのできる印象的な音楽である。また、効果音も独特で、個人的にドンキーが着地した時の音が好きだ。ちゃんとディディーはドンキーよりも軽い音がなるので、二人の体重差を音で感じることができる。


プロモーション

バナナ味のシェーキにチョコのソース
バナナ味のシェーキにチョコのソース

日本ではあまり食品の宣伝にゲームキャラクターが起用されることはなかったが、ロッテリアではシェーキを販売。バナナ味にチョコソースの組み合わせがなんともドンキー。続編である2でも展開されたらしい。また、マリオ64でもあったとか。

海外ではライバルであったハード SEGA GENESIS(海外版メガドライブ)には実現できない、任天堂でしか遊べないということを強くアピールしていた。SEGAもNintendon't なんて言っていたり、当時の両ハードの人気が双璧をなしていたことがよくわかる。


幻のDonkey Kong Country Competition Cart

海外でのイベントPowerfest'94、Blockbuster World Video Game Championships IIではスーパードンキーコングの限定版が使用されていた。後に雑誌Nintendo Powerの会員限定のカタログ商品としてリリースされたらしい。内容としては8つのステージがあり、5分以内に得たスコアで競うといったもの。バナナや敵を倒したりすることでスコアを獲得することができる。人気タイトルかつ生産数が驚くほど少ないため、コレクターの間では高額で取引されている。実際は緑色ののレンタルボックスに入っているらしい。似たような理由でスターフォックスの限定版もある。ちなみにNintendo Powerでは本作のメイキングビデオも販売していた。

あちらのお国ではこういった大会や番組が盛んだったようで、限定版などの大会専用ソフトは多い。日本でも小規模ではあったがストリートファイター2やスーパーマリオカートなどの大会があったと記憶している。最近はネットなどの普及でそういった企画は廃れつつあるような。またVC辺りでやってくれたらうれしいですな。

他にもソフトとSNES(海外版SFC)がセットになったものが販売されていた。

こちらはドンキーシリーズだけでなく、マリオコレクションやマリオワールド、Killer instinct(日本未発売)などいくつか種類があったようだ。