Killer instinct


任天堂 レア

対戦格闘

プレイヤー:1~2人


C-C-C-COMBO BREAKER!!

スーパードンキーコングと同年にアーケードでリリースされ、その移植が翌年に発売した。簡単な操作で派手なコンボを長く続けられるのが特徴である。レア社らしくCGを駆使したグラフィックは必見。


ストリートファイター2が爆発的なヒットを飛ばし、その後は便乗するようにSFCで格闘ゲームが量産されたのは知っている人も多いのではないだろうか。海外ではモータルコンバットという格闘ゲームがヒット。残虐演出や実写を取り入れた作品は当時は珍しかったため、移植はさまざまなハードにされた。スト2派とモータルコンバット派で分かれていたところの間を狙ったのが本作である。スト2の6ボタンとコンボ、モータルコンバットのリアリティーと残虐演出をミックスしたといった感じだ。


この作品を語る上で外せないのがコンボシステムだろう。このゲームではなんとコンボをオートで繋いでくれるのだ。例えば、空中でキックを当ててから、地上でパンチを入力。これだけでキャラクター達はスタイリッシュにコンボを当て、良い意味でオーバーなナレーションが盛り上げる。さらにコンボを繋げるには必殺技をその後に入れて、また通常技。最後はアッパーカットなどの大技で締めるとコンボフィニッシュ限定の技が炸裂。お手軽かつ、爽快感抜群である。基本的にコンボのレシピは通常技と必殺技を交互に繰り返し、最後は大技で締めることになる。

killer combo!
killer combo!

一本を取った状態で体力が3割程度になると、曲が転調しバーが赤く光り始める。このときにコンボを開始させ、特定のコマンドを入力すると20HITを越えるウルトラコンボが成立。オートでキャラクターが相手を物凄い勢いで攻撃し始め吹っ飛ばす。これがこのゲームの醍醐味である。同じ状態でコンボ中に別のコマンドでモータルコンバットの様なフェイタリティをお見舞いすることができる。こちらは相手の体力を0にした時にも可能である。もう一つ、Humillacionというものがある。こちらは一部の解説書、攻略本等に載っていないことがあるため隠し要素なのだろうか。発動すると相手を踊らさせることができる。ファイター達によるキレっキレっなダンスをご覧アレ。

逆転のチャンス
逆転のチャンス

じゃあ長いコンボされたら一方的じゃあないか!と思うかもしれないがご安心を。相手のコンボを中断させ吹き飛ばし、必殺技を強化することのできるコンボブレイカーがある。キャラクターによってコマンドは異なる。成功すると C-C-C-COMBO BREAKER!!とナレーションが鳴り、エフェクトは踊り、強いヒットストップが炸裂する。これが最高にかっちょいいのだ。格好いいので確実に出したいところだが少し判定が厳しい様子。慣れるしかない。だが、成功させると体力バーの端が白く光り、三回まで必殺技を強化できる。例えば飛び道具を一気に三つ出したりできる。成功させればこちらが有利になるのは間違いなし。体力がなくなっても、レバガチャで体力を1%持った状態で復帰できる。復帰後は一定の間、パワーアップするので逆襲も可能だ。このように、とても逆転要素が多く、駆け引きの熱いゲームなのだ。


・格闘家に絞らず、何でもありなキャラ選出

・簡単な操作で長いコンボを繰り出せ、なおかつ全キャラに応用の利くシステム

・レア社ならでは高品質なグラフィック

・当時としては移植の難しい要素の多いゲームだったが、上手くアレンジしてある

・豊富なボイス

・ボーカル入りの音楽

・コンボブレーカーの難易度が高い

・トレーニングモードで体力ゲージが表示されない

・ラスボスであるアイドールがまともな戦い方では勝つのが難しい。最大難易度ではコンボブレーカーでほとんど無効化され、余程腕がないと太刀打ちできない

・CPUとのフリー対戦がない。この頃には珍しいトレーニングがあるのだから入れてくれても良かったのでは。


移植作品としてのKI

元々はultra64向けのソフトだった
元々はultra64向けのソフトだった

オリジナル版であるアーケードは本来、SNESではなくUltra64という任天堂の新ハードに移植される予定だった。Ultra64は後にニンテンドー64として改名し、3Dのゲームに特化したハードになることに。アーケードのKiller instinctはムービーや高画質の画像が大量に使用されており、64はリアルタイムムービーは得意としていたが圧縮したムービーを再生するのは苦手だった。それ故に移植は困難と判断されSNESに移植。64の開発の方針がよくわかるエピソードである。ちなみに続編は削られた要素はあったものの、無事64に移植された。帰るべき場所(?)に帰れてよかった、よかった。

当時の広告
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さて、SNES版の移植はどうだったのだろうか。流石自社移植なだけあり、SNESとは思えないハイクオリティーな出来栄え。キャラクターは半分以下の大きさになってしまったものの、オリジナルの出来が良いのでSNESとして見れば抜群のグラフィックである。音楽に関しても移植するのが難しいジャンルであった主にサウンドエフェクトやボーカルの入った曲があるが、それでも8割り方再現できている。OrchidやTJ Comboのステージはぜひ音量を上げて聴いてもらいたい。また、ボイスの数もかなり多いほうである(特に削られがちなナレーション)。スト2のSFC移植版でよく問題点としてあった、ラウンドが終わると音楽が止まるといったこともない。ピンチになると流れる音楽もちゃんと入ってる。削られてしまった要素としては、ムービーやカメラアングルが秀逸な立体ステージである。ここに関しては無理なのも承知ではあるが、単なる2D格闘ではないのがよくわかるので残念である。


Killer CutsとNintendo Power関連

無料配布だったとか
無料配布だったとか

SNES版にはアーケード版の音楽をフルバージョンにしたものとオリジナルボーカル曲をいくつか追加したサウンドトラックが同梱されていた。また雑誌NIntendo Powerでも購入が可能だったようだ。ボーカル曲は当時のE3で流され、ダンサー達がゲーム中の虎の石造に見立てたステージで踊っていた。(その虎はうねうね動くギミック付き。いくら掛かったのだろうか)映像が見つかったので良かったら見てもらいたい。KIで盛り上がれたあの頃。良い時代でしたなァ。


はたして被れるのか
はたして被れるのか

Nintendo Powerでは数少ない関連商品を販売。帽子、ステッカー、メダルやジャケット、なんとFulgoreのマスクまである。また、コミックも連載していたようで人気の高さが窺える。他にもSNESとソフトの同梱版(二種類ある?)などがあった。