クラッシュバンディクー5

トラベラーテイルズ

アクション

1人


今度のクラッシュは360°

宇宙初の奥スクロールアクションゲームとして大成功を収めたクラッシュ。本作では3Dフィールドを自由に歩きまわれるようになった。


まさかのオープンワールド

今まで一つのジャンルとして奥スクロールを貫いてきたが、時代の流行に合わせてか、またはクラッシュのブランドを信じてか、大胆なジャンル変更をした。操作は多少の挙動違いを除き同じ。ただ、システムはオープンワールド化に伴い、箱のパーフェクトは当然廃止。よってダイヤは道中に隠されている(パワーストーンも同じく)。ワープルームもなくなり長い一本道をひたすら進む。今作の目玉、コルテックスを連れてのアクションはパズル謎解き要素を強くしている。


国内クラッシュへ止めを刺した作品

前作で開発元が代わり、国内でのクラッシュブランドには少なからず傷がついてプレイヤーが離れてしまったのもあり、番外を除いた久々のアクションシリーズの新作として出た本作は国内クラッシュの分岐点だったのかもしれない。なんといってもジャンルの変更はファン達にとことん不評で、多くのレビューで指摘されている。あくまでもクラッシュシリーズとして見ればの話ではないのか?一本のゲームとして見ればそこまで酷くはないのでは?と私は悪評を見るたび気になってしかたがなかった。


ーというわけでまずは散々言われている短所から。

・バグが多い

この作品を遊ぶにあたって初めに違和感を感じるのがこれ。初めから最後まであらゆるバグに付きまとわれることになる。明らかにデバック不足としか思えないような、再現性が高すぎたり唐突に、また頻繁に起こるバグ。最早これを楽しみながら遊んだほうが良い。以下主なバグの例


・一定の高さのある場所から落ちると場所によっては空中で画面がフェードアウトしてミス扱い。着地しても起こることがある。この仕様は不正なショートカットの防止だと推測しているが、あまりにも雑すぎる。

進行に必要なギミック、オブジェクトが復活しない。例えば海の先のスイッチ向かって小石を飛ばす場面では小石が海に沈んでから復活しなかったりする。中途半端に沈んだオブジェクトが復活の判定まで届いていないと思われる。

・足場の判定が怪しい。ダブルジャンプでも乗れない岩もその後にボディープレス(スラム)で高さを稼げば乗ることが可能である。

まだ一つに偏ったバグならまだしも、基本的なシステム周りがとにかくお粗末極まりない。


・設計の甘さ

・設定ミスだと思われるが、一部足場に影が映らず落下ミスが多発することになる。よく見ると、その足場の下の床などに映っている。

・今までは落下ミス以外の全てのミスを防いでくれたアクアク。が、今作はニトロはもちろん敵の攻撃すら守らずミス扱いになる。


・微妙な演出

ムービーシーンが間に挟まれるが、何が起きているのかわかりづらい。とにかく余計な部分をカットしたかったのか、前後のつながりが唐突すぎる。その上日本語ローカライズが直訳のオンパレードなために元の英音声を差し替えた際に尺が合わず、台詞が詰まっている。またバグでキャラクターが消えたりする。

ちなみにムービーはクリア後であろうと何であろうと飛ばせない。


・酷く手抜きなローカーライズ

前作からの日本独自の設定を無視したローカライズが更に加速。名称が日本人に馴染みやすくするため変更されていたものは原語を直訳したものになってしまった。

ボディープレス→ボディースラム

パワーストーン→パワークリスタル

台詞も外国文化を理解しないとわからないジョークがそのまま訳され意味不明になってしまっている。あまりに直訳すぎてシーンに噛み合わないことも。

また国内版のみのバグが存在。どちらも追いかけられるステージで敵キャラクターの動きがおかしくなるといったもの。急に斜めに壁に突っ込んで引っかかったり、その場でぐるぐる高速で回ったりする光景には失笑もの。前者の斜めに移動するのは意図的に難易度を下げるためにやって、その変更で別のステージに影響がでたという話もある。本当なら雑ではすまないレベルである。


ーこんなに酷い要素だらけで長所はあるのかというと、もちろんあるのでご安心を。


・PS2トップクラスのグラフィック

特に土壁などのテクスチャやジャングルの日差しの感じは素晴らしい。

・アカペラBGM

全編使用されている音楽はアカペラである。どこか不思議な今作の雰囲気にはなかなか合っている。また曲単体のクオリティは非常に高い。

・操作性

ハッキリ良いとは言い切れないが、前作よりかはハキハキ動いてくれる。

・コルテックスが使える

これだけでも価値があるかも。

・それなりに筋の通ったストーリー

単純ながらも悪役とコルテックスの関係や彼の母校にまつわる話などはなかなか面白い。


なんだかんだでバグを大目に見れば、そこまで酷いゲームではない。ジャンルが代わってしまったこと、日本受けしにくい内容の数々で悪い風潮が流されているとも思える。事前評判があの様なので身構えたものの、結局楽しめているので手に取る機会があったならぜひプレイしてもらいたい。



・繊細なグラフィック

・独特なアカペラミュージック

・一応しっかりオチのあるストーリー

・過去作のキャラクターの出演

・コルテックスが使える

・あまりにも多すぎるバグと調節の甘さ

・少々固いジャンプ挙動

・国内版のみ存在するバグ

・雑なローカライズ